[特色の作り方]DICやPANTONEの膨大な特色は基本となる少しの色から作られます。
のぼりや横断幕などを作る工程をなかなか見ることがないということでいろいろな工程を紹介するシリーズをはじめます。
一番最初は色をまぜてつくる「調色」という工程を紹介します。
のぼりの印刷は特色が多い
のぼりは基本的にはお客さんからもらう特色という色に合わせます。
DIC(ディーアイシー)さんが出しているDIC帳やPANTONEなどの色見本から選んでもらうことが多いです。
もしくは色見本をもらいそれに色をあわせます。
注文する度に色が変わってしまったり、会社の大切なロゴのいろなどが変な色ででてしまってはせっかくの商品が台無しです。
堀江織物では、どんな季節でもどんな枚数でもなるべく同じ色が出るように自動調色機を入れています。
自動調色機にはこれまで社員がつくって来た特色のレサイプという色の配合表を持っています。
そしてそれを忠実に出せるように毎日機械を調節しています。そして最終的には社員がきちんと責任をもって合わせています。
顔料と染料
すこしだけ専門的な話しになるのですが、のぼりや横断幕などで使う色は「顔料」を使用しています。顔料は鉱物などを細かく砕いた粉をバインダーという接着材で布に固定させて色を表現します。
染料は生地の糸を染める様に印刷します。インクジェット印刷はポリエステル用の染料を使っています。この辺りのはなしも行く行く書いていきたいと思いますが、今回は顔料と染料があって、シルクスクリーンは顔料だということがわかってもらえればOKです。
バインダーを用意する
ますは顔料を固着させる接着材の役目をするバインダーをつくります。
バインダーは印刷後の熱で固まります。そして印刷の品質を左右するすごく重要なものです。
バインダーはどの色を使う場合も使用するので、普段100Kg単位でつくっておきます。
シルクスクリーン印刷で防炎加工するときは、このバインダーが燃えてしまうので、防炎剤を入れた燃えないバインダーをつくっています。
そしてそれを機械にセットしておきます。
すべての特色の元になる顔料がセットされています
DIC帳やPANTONEの膨大な特色も基本的な顔料を混ぜることで作られます。
紙の印刷などはレギュラーといわれるCMYKのインクを使うことが多いかもしれませんが、のぼりなどのシルクスクリーン印刷はほとんどがオリジナルの特色で印刷されています。
堀江織物は中小ロットを効率よく回転させる用に工場が設計してある為に、おそらく日本でも有数のカラー数と製版数だとおもいます。
色をセットしバケツをセットする
案件に合わせて使う特色の設定をしたら、自動調色機にバケツをセットします。
そうするとその後に、色が飛び散らないようにバインダーが少しはいってその上に特色が配合され最後にバインダーが追加投入されます。
すべてのインクは電子天秤で重さが正確にコントロールされています。
インクの投入から撹拌まで自動で完成!
バケツをセットしたら完成までは自動で進んでいきます。
YouTubeの動画が一番わかりやすいと思います。
使う量ギリギリで正確な特色をつくることは短納期と環境負荷を抑える
短納期を実現するためには、シルクスクリーン印刷の仕事が始まるまでに、(1)生地を用意 (2)製版を用意 (3)色を用意 していないと始まりません。
また提供する商品の価格を抑える為にも使う分のギリギリのインク量を計算していないとコストアップになってしまいます。
またなによりインクが残るということは廃棄の負荷も高くなります。
短納期と原価の軽減、そして環境負荷を抑える為に自動調色装置はとても大切な設備です。