他社のインクジェットで色が浅いトラブルの相談が増えています。

最近いつも仕事をいただいているお客さんを始め、ホームページやブログからの問い合わせで増えているのが、「他社で作った商品の色が浅くてトラブルになっている」というご相談です。

一概には言えないし、現物がない状態でのお問い合わせも多いので、その場で答えを出すことが難しいですが、一般論としてお話をさせていただくのは、「価格に見合った色になる」ということです。

色が浅くなる原因を考えてみる

納品された商品の色が浅い場合に考えられる原因が幾つか考えられます。
今回はそのひとつづつを見ていきたいと思います。

  1. 生地がうすい
  2. 印刷スピードが早い
  3. パス数が少ない
  4. 発色しきれていない

1、生地が薄い

一番のぼりで多く使われているポンジも各社によって違います。
生地の厚みは縦糸と横糸の糸の太さとそれを織る密度で決まります。
当然細い糸で密度が浅くなれば薄くなり、印刷も薄くなります。

堀江織物では、ポンジは一番多く使う生地なので、安定した品質の生地を仕入れるために複数の生地商社と共同仕入れしております。

2、印刷スピードが早い

見積もりを出す上で影響があるのは、1台のプリンターが1時間に何m製造できるかが重要になります。
この部分は見積もりの金額だけでは判断できない各社ブラックボックスに包まれた部分になります。

もちろん印刷スピードがが早いほうが安くつくれますが、それは印刷品質とのトレードオフになります。色が浅いものは多くは印刷スピードと濃度が足りない場合が多いです。

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3、パス数が少ない

パス数とは同じ箇所を何回にわけて印刷するかという事です。ノズル数と解像度の関係できまりますが、一般的にパス数が多いほうがインクジェットのムラが少なく、濃度も安定して濃くなります。

今まで見た中ではかなり少ないパス数のものを見かけたことがあります。
堀江織物ではかなりパス数は多く設定して、スピードよりも濃度と品質重視で設定しています。

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4、発色しきれていない

昇華転写やダイレクト印刷などポリエステルへの印刷は昇華インクを使うので、印刷時点では色がでてきません。それに熱をかけることで鮮やかに発色します。

その発色きが力不足であったり、サイズ的に余裕がないと両サイドだけ色が沈んでいたり、色ムラがおこったりします。1,800mm巾まで対応しているので発色機はかなり大きいもので余裕をもった機械をいれています。昨年導入したイタリア製のmontiはオイル式の為、これまでの電気式にくらべて安定した高温での発色が可能です。

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見積もりでは判断できない品質のリスクについて

印刷品質が低くなる4つの理由をあげてみました。

同じ印刷機でも下の様に印刷スピードとパス数の調整でかなり色が変わってきます。実際に色が浅くてトラブルになる場合は右側のようなものも見受けられます。実際に左の自社設定では6分かかるものが右の品質だと3分で印刷が完了します。

インターネットや見積もりで「激安!」みたいなものの中には、効率を上げて安価にしているものと、品質を犠牲にして安価にしているものもあります。この点では見積もりなどでは判断できないので、いつも金額が合わない時は歯がゆい思いをしています。

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だれがどんな思いで印刷をしているか

のぼりなどはかなり競合も多く、金額でもかなり安くやっている企業もあります。その内情や品質はなかなか判断がつかない部分もありますが、最近では値段で他社で制作したお客さんがまた戻ってきていただくことがふえました。

日々、地味ではありますが、ノズルの洗浄やメンテナンス、色のチェックなどはきちんと行っています。

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同じ機械をいれればきれいに印刷ができるわけではなく、その機械を動かすメンバーの思いが商品として伝わるといいなと思っています。

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